2012年3月6日火曜日

運動印象の成立機構

 (a)は、1点を固視し、その眼前を人が通り過ぎる場合、通り過ぎる人は、網膜上を動くが、背後の景色は動かないため、人が動いていると知覚する。
 (b)は、画面の左から右へ歩く人を、眼で追いかけてみているとすると、歩いている人は網膜上で静止しているが、背後の景色が右から左へ流れ過ぎるため、人が動いていると知覚する。
 (c)は、静止している人の前を、左から右へ歩き去る場合、人と景色は網膜上を右から左へと移動し、網膜上には多くの運動情報が与えられているにもかかわらず、外界の運動を知覚しない。

上記(b)(c)となると、動く対象を眼で追うときのように網膜上で対象の移動がない場合、および歩きながら景色を眺めた場合のように網膜に動きがあるのに動きを知覚しない場合を生理的機構では説明できないとされています。
Gibsonによれば、観察場面全体に含まれるすべての情報が、対象が動いているのか、観察者が動いているのか、その両方なのかを知らせてくれると述べています。

私の周りでは、MMTやROMには問題ないのにもかかわらず、(a)(b)(c)の混合した場面になると、転倒してしまうケースをよく聞きます。対象が静止している中で動いていくことは上手な方が、対象が動いているとそれだけで立位保持ができずバランスを崩す患者さんもよく経験します。

思い起こすと、私のリハビリは上記の絵を単体【特に(a)】で行う場面が圧倒的に多く、特に上記が複数に交えた場面を設定したリハビリが非常に少ないと気付きました。転倒患者さんに対し、筋力低下や認知等の言葉一つで片づけてしまう私。少しでも考えるセラピストになるように、明日はいろいろな場面設定で分析していきたいと考えています。

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