2013年11月28日木曜日

Anticipatory postural adjustment APA's

 栃木ボバース研修会に参加してきました。

 久々にボバースの話を聞いてたくさんの刺激を受けることができました。

 今回頂いた資料をもとに、APA'sについて分かりやすく載っていたので、紹介させて頂きたいと思います。

 APA'sとは予測的な姿勢を調整するもので、用語は先行随伴性姿勢調節と言われています。これには2種類の機構があるようでした。


・Preparatory APA's
 準備的なAPAと呼ばれ、運動がおこる50~300ms前に起こるFeed foward系system。
  これは運動側に対する支持側の先行活動と上位運動神経系からの同側性の下行性制御で前庭脊髄路系や橋網様体脊髄路系が関与する。
 つまり、意図する動作の前に姿勢を調節することからpostural setの位置づけとなる。


・Accompanying APA's
 不随意的なAPAと呼ばれ、運動が起こっているときに起こるFeed back系system。
 皮質脊髄路系の末梢部の運動に先行して起こる近位関節周囲筋の活動で、主に運動プログラムとなる。
 つまり、動作中のFeed Backを受けて調節するため、postural controlの位置づけとなる。


※msミリセコンド→1000分の1秒。


 これらのことから、やはり環境と生物が相互作用して、進化を遂げてきた私たち人間は、積極的に外部環境に働きかけ続けていく過程にあると思われます。

 背臥位で、単に上肢の挙上訓練をやるよりも、何かに働きかけてリーチしていく活動や過程に、セラピストの存在に意義があるのだと思いました。


 中枢疾患でも整形疾患でも、APA’sの2つを検討することはとても難しいことですが、患者さんと一緒に、積極的に環境に働きかける姿勢が必要なのだと思いました。


 特に多関節運動連鎖という言葉がはやっていますが、これはfeed back系を強調するAccompanying APA'sの捉え方が重要であると私は思っています。


 患者さんを単に寝かして、いわゆるマッサージ的な対応は、リハビリテーションの定義から異なるものであると改めて感じました。


 もちろん、それが必要で、APA’sに作用させる効果もあるかもしれません。しかし、何も考えず、患者さんと環境との相互作用を考慮しない、単位水増しの対応では、何も改善が生まれないものと考えます。


  また、自分への新たな課題と見つめ直すきっかけをもらいに、ボバース研修会に参加させて頂きたいと思います。