2015年2月12日木曜日

伸張反射について


 伸張反射は学生の頃から苦手意識があり、理解に悩むことがたくさんありました。今でも学生をみていて伸張反射を生理学的に理解し、臨床に応用することにむずかしさを覚えます。

 上では一つの例として挙げています。例えば、やけどを負う危険のある熱が手に触れてしまったとき、私たちは大脳皮質から「手を避けなさい」と命令するようでは、どうしても信号のやりとりが遅くなってしまい、身体にとても危険を及ぼしてしまう可能性があります。そこで、脳には至らず、脊髄レベルでのやりとりによって、このような危険な場面に対し、的確にす早く身体が対応することができます。
 
 伸張反射は単シナプス反射と呼ばれますが、実際は、筋紡錘から延びる感覚線維は、介在ニューロンや感覚ニューロン、視床など、脳にも投射しています。そこから、脳で処理した情報は運動ニューロンへ戻り、並行した反射弓を形成します。したがって、伸張反射は、「多シナプス反射」性の成分を持っていると言われています。

 スポーツ選手が緊張してしまうと、半分の力を出せない例もたくさんあります。それだけ、伸張反射は環境に左右されてしまう複雑な存在なのだと思われます。セラピストや学生さんは患者さんにとってとても重要な環境因子になります。つまり、患者さんはセラピストや学生さんにうける影響は強く、異なる反射がみられる可能性が考えられそうです。