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2021年7月20日火曜日

「揺する」ことの効果について

  私はタッチングの研究を行っていますが、現段階では「ストローク」のみの研究に留まっています。

 

 ストロークの他にも臨床で触れる方法はいろいろあると思います。私の場合は、皮膚のみをgraspしたり、筋をしっかりgraspしたり、皮膚・筋の伸長を促すような触れ方をすることがあります。


 なかでも自然と臨床で実施するのが、「揺する」タッチングです。どの位の強さで、どの位の揺れを引き出すのかについて、全く統一が確立しているわけではありません。これは患者さんによって大きく変わるので、統一性を図ることはかなり難しいです。


 この「揺れ」によって、患者さんの動きが良くなったり、心理的なリラックス効果を得られることを多く経験します。


 この研究はまだまだ少ないようですが、これらの効果の要因として胎児がお腹の中にいるときの「揺れ」と羊水によって刺激される産毛の「揺れ」を思い出しているのではないかという考えもあります(久住、2018)。


 また、揺らすことで、全身の関節や筋も動きますし、それに伴う支持面との接触によって緊張した筋が緩んでくることも考えられそうです。


 先ほどリラックス効果といいましたが、このリラックス効果により、消化・吸収、心臓や呼吸、排便、免疫、ホルモンなどの動きを調整する自律神経の動きが活性化される可能性もあるのではないかと思います。


 様々なメカニズムが複雑に絡み合って「揺れ」の効果が反映されるのかもしれません。私は専門ではありませんが、精神科の患者さんにも提供することに意義があるのではないかと考えております。


 心理的要因と関連しているという頭痛や慢性腰痛の方にもどれほどの効果をもたらすのか気になるところです。

 

 現在課題としている研究を終えることができたら、自律神経指標や心理尺度、エコーなどを用いてぜひ検証してみたいと思います。

2017年8月25日金曜日

無料統計ソフト HAD 

 研究者にとって、統計ソフトは必須です。





 大学では、spssが主となっていますが、ここですごいソフトに出会えました。spssと同じ、それ以上と言われている無料統計ソフトでその名称はHADです。












 社会心理学の清水先生が作成され、バージョンアップも常にしているようです。統計の素人の私でも非常に使いやすいので、少しだけ紹介したいと思います。












 

 左の図は、まずデータセットに必要な画面です。

 データはでたらめな数字を入れています。例えば、運動をすることで学校の成績がどのように変わるかを検定してみました。








  右図はデータセット完了後の図です。
 見た目もやさしく、ワンボタンでできる図となっていますね。





 
 

 分析をクリックすると、このような図がでてきて、さまざまな分析方法が一発で視覚的に表れます。













 平均の差の検定、つまり対応のあるt検定をやってみました。

 このデータの場合は、有意差があることがわかります。またグラフも自動的に作成してくれます。










 箱ひげ図は、ノンパラメトリックの際に用いるのが望ましいといわれていますが、素人の私にとっては、箱ひげ図は全体像が見えやすくてすきですね。

 箱ひげ図のところにクリックするだけで、左記のような図を作ってくれます。











 以上簡単ですが、HADを紹介させて頂きました。spssもすごいと思いますが、無料ソフトであることから、家でも、どこでも、いつでもできるというのも魅力だと思います。














 また、共分散構造分析(SEM)を用いる場合、spssに加え、Amosも必要になりますが、HADの場合、これ単体で対応が可能となっています。



















 ライセンスがありますので、学会発表や論文等には、必ず下記の引用文献として、載せておくことが必要です。

清水裕士 (2016 ). フリーの統計分析ソフトHAD:機能の紹介と統計学習・教育,研究実践における利用方法の提案  メディア・情報・コミュニケーション研究, 1, 59-73.

2016年6月15日水曜日

素人統計学 ~相関係数~

 この図では、とてもきれいな直線図となっています(こんな例はないと思いますが)。










 Xの変化に対して、YもXと同じように変化していることが分かります。

 











 この理想的な直線図は相関係数として1~-1の間をとり、1や-1に近ければ近い程、相関係数の強さを表すようです。











 例えば、

「伸長Aが高くなれば体重Bも増える」

としたとき、この直線から大きくずれてしまうと(ばらつきが多い)、この仮説が正しいという信頼性は弱くなってしまいます。














 このばらつき具合のデータの捉え方・考え方は、研究の領域によって異なるようです。例えば、心理学と社会学で比べてみます。










‐1≤r≤1とした時、


心理学の場合、
  .00~±.20     ほとんど相関がない
±.20~ ±.40   弱い相関がある
±.40~ ±.70   中程度の相関がある
±.70~ ±1.00   強い相関がある







社会学の場合、
     ±. 10   弱い相関
  ±. 30   中程度の相関
  ±. 50   強い相関









 社会学の場合、心理学に比べて相関の強さを示す範囲がかなり広いんですね。










 その理由として、心理学に比べ社会学は、かなり広い視野・大きな規模での分析になるということが一つ考えられているようです。


















 統計手法はもちろん、このような結果の解釈は、研究者が何を明らかにしたいかにも影響を受けるかもしれません。

 

2016年5月23日月曜日

偏差値

前回のブログでは、分散と標準偏差について述べました。

山の形をしている正規分布で、でた数字によって山の形の特徴を表しました。

今回は、学校の成績でよく使われている偏差値です。

偏差値は50が真ん中と言われていることから、山の形のど真ん中が50と想像します。

偏差値の計算式は、

まずは、Zi=個々の点数-平均点÷標準偏差

偏差値=10×Zi+50→つまり、平均点をとると、Ziが0になるので偏差値は真ん中の順位の50!!


となります。例えば、科目67点-平均点53点÷10(ここでは10)とします。これを計算すると、、、

計算すると偏差値は64となります。ちなみにZiが1.4でした。つまり、標準偏差10に対し、1.4倍!!ということになりますね。真ん中の50の+方向に14進んだ位置になりますので、この67点という成績の偏差値は64です。

 では、この偏差値平均50から+の方向に14の位置、つまり64とはどのくらいのレベルなのか。。。

 ここでブログでだした標準偏差の範囲は、1SDと呼ばれるようで、この範囲は真ん中から+面と-面両方含めて64%の割合をだすようです。つまり、真ん中から32%の位置になります。

 偏差値の場合、1SDは60、2SDは70の位置になるようです。つまり、偏差値64の数字はど真ん中から+32%以内の人たちよりも上の位置になるということになります。

 1SDが64%となるようですが、100%より64%を引くと、36%になります。つまり、真ん中より+32方向、50以下の位置が2SDの範囲となります。偏差値70を超えたら、全体のわずか2.5%内の順位になるのですね。


参考資料
東京福祉大学 心理学統計資料、 桜美林大学 心理統計学資料



2016年1月14日木曜日

さまざまな徒手療法

 理学療法士や作業療法士は、身体分野においては、少なからず治療者として対象者と「触れる」ことが多いと思います。むしろ、「触れる」ことが主要で、触れることに抵抗のある日本人の特徴的な心理面をもっていても、治療者と患者さんという関係性では、その空間は「触れる‐触れられる」という関係性が成り立ちます。現代では、セクハラや痴漢行為の事例が数多く挙げられていますが、その影響からか、心理学の世界において、昔と比べ男性のカウンセラーにはかなりの制限がかかってしまうとよく聞かれます。それだけ、リハビリテーション分野でこのように許される職業としては、とても魅力的であり、かつ責任重大な職業であるとも言えます。

 リハビリの世界でも、手技手法をはじめとした徒手療法は、数多くあります。フェルデンクライスのfunctional integration統合のように微細なタッチで対応するものや、関節モビリテーションで素早く関節を牽引するもの、筋膜リリースのように深部まで圧を加えるものなどさまざまです。私はbobathの環境でしたから、話す内容はbobathに近いものが今までも多かったと思いますが、私の印象では、bobathの先生方をみても、考え方や触り方、患者さんとのスペースの取り方は決して同じではなく、多様性のある印象を受けます。bobathはテクニックではなく、概念であるということがあるかもしれませんが(bobathを語れるほど、bobathは理解していませんが・・・)。

 学生や新人の頃は、よく疑問に思っていましたが、
「なぜリハビリテーションの世界では治療手技・徒手療法は統一されないのだろうか?」
と考えることが多くありました。一番効果の高い徒手療法をみんなやればいいのに。
この仕事をはじめての私個人の考えになりますが、さまざまな徒手療法をみたり、話を聞いてきましたが、どの手法においても、個人差がでるようですね。もちろん、経験年数や患者さんの求めるものによって違いがでるのは当たり前な話ですが。だから、この療法が良くてこの療法がだめとか、はっきりしてこないんだと思います。私はbobathだけでなく、AKAやフェルデンクライス、筋膜リリース等、そのトップを走る方々のアプローチをみてきました。やはりどれが一番正しいのかは、私のレベルでは判断できるものではないのですが、結果はもちろんのこと、考え方やスピリッツはどれもすばらしいものでした。不思議なことに、それぞれの先生方は、他の理論を否定していなかったこと、他の理論と思われる考え方を知っていたこと、何よりお話ししている内容がなんとなくですが、同じように聞こえてきました。それは、患者さんが困っていることを全身全霊を込めて聞き出そうとしている姿でした。言葉だけでなく、身体の方から心理面にかかわっている。その空間だけ可能としている共有・一体感、というような印象でした。決して専門的に言葉にはしていませんが、患者さんの心理を踏まえていることが大前提であると教えて頂けたように思えます。

 ヒトは信じ込むとそれが身体に表れるようになると聞きます。癌患者さんでも、精神的なもので治るものと治らないものと大きな差が出てくる話も聞きます。徒手療法はそれぞれ独自なものがありますが、患者さんがそれをしっかりと知り、患者さんが治療者を信用することが大前提なのだと思います。

 2月に大学院の入試があり、合格できるかはわかりませんが、
「触れるということ・心理的な側面」
という、大雑把ですが自分なりに研究していきたいと思っています。私の希望する学校は、心身を考慮した心理学的アプローチを専門としています。ぜひここで学んで更に一人前の作業療法士に近づけるよう、残り期間しっかりと入試対策をし、患者さんの思いが少しでも理解できるようなセラピストを目指していきたいと思います。

2015年11月2日月曜日

ド素人の統計学 ~帰無仮説~

 大の苦手、つい逃避してしまう「統計学」ですが、多くのなかの一つに帰無仮説に疑問をもっていました。

 なぜ
「仮説検証したい事柄に対して否定的な仮説をわざわざ検証するのか」

です。今回は大学のゼミの仲間から分かりやすい資料を頂くことができたので、参考にしてみたいと思います。

 この文献では、肺がんの発生率と禁煙パンフレットの効果を検証したという例題が挙げられていました。肺がんには禁煙パンフレットの効果があるという分析です。

 私たちが行う研究題材は、対象者全体で行うことはまず難しいことは明らかです。したがって、

「ある一部のサンプルを通して、全体を推測する」

ということになります。

 サンプルの結果は、さまざまな要因が絡み合ってくると言われます。もしかしたら、パンフレットの意味が全く成していない可能性も考えられます。従って逆の仮説、

「禁煙パンフレットと肺がんの発生率の関係は無関係である」

という帰無仮説を否定できれば、ある一部のサンプルを通して全体を推測する可能性の広がりを示すことになります。

 なるほど、なんとなくですが、なんとなく理解できた気がします。

 実際に否定できるかどうかの判断は、p値の大きさで判断するようですが、ここの時点で頭がパニック状態となっているため、割愛しています。


 心理学の方に聞いた話ですが、統計学から得た知識は、実際の現場では2割出せたら良い方であると聞きました。ここからは、ド素人の私の考えになりますが、あくまで仮説したい事柄の否定的なもの(帰無仮説)を仮説検証することになるため、さまざまな結果がでても現場には

「皆同じように実施し、同じように結果がでる」

ということにならないのだと思われました。リハビリの世界でも、統計学的に正しい結果がでてるのであれば、みんな同じことをやればいいのに。と若いときは何度も思ったことこがあります。


 一方、ナイチンゲールは、個別性を見極めることが重要であることを述べていました。統計学を否定しているわけではありませんが、私も個別性は重要視しています。しかし、個別性を見極めるには、統計学的な見解を知ることで、より深まるものであることも確かだと思っています。

 私は研究者ではないため、専門的な統計技術を得るつもりはありませんが、多くの優秀な研究者たちの蓄積と知見は、私たち現場の人間が一番吸収しなければならないと思います。そのためには、最低限の知識が必要になると思っています。



※私の解釈は非常にあやしいです。以下の文献で実際に読んで頂けれたらと思います。
参考文献:松山 裕 統計学再入門 統計的仮設検定と効果の推定 心身医学書 Vol.53 No.7.2013

2015年8月2日日曜日

コルチゾールとPTSD

 久々のブログ更新です。

 大学院のテスト対策で調べていたところ、コルチゾールとPTSDに関連があるということを知ることができました。

 私の過去のブログでは、ストレスを受けると、視床下部が反応し下垂体へ、そして副腎のコルチゾールを分泌し、膵臓にてインシュリンを使い、糖を細胞へ入れ、ストレスを受けた細胞の傷を癒すということを述べました。

 PTSDによる長期間によるストレス反応は、これらの機能を疲労させてしまいます。疲労するとコルチゾールは、
「これ以上疲れさせると糖尿病になる、やめろ!」
と、PTSDに関連する海馬に信号を送るのだそうです。言うことを聞かない海馬は、コルチゾールの更なる攻撃によって、海馬の機能を低下させてしまいます。

 つまり、コルチゾールは、強いトラウマを緩和するために脳の海馬を萎縮させる能力があると考えられているんだそうです。

 コルチゾールと腰痛などの身体の疼痛、睡眠や不定愁訴などの自律神経系、脳神経系、内部疾患系・・・たくさん関連がありそうですね。

 将来開業するためには、積極的に勉強していくべき分野になりそうです。

2015年2月12日木曜日

伸張反射について


 伸張反射は学生の頃から苦手意識があり、理解に悩むことがたくさんありました。今でも学生をみていて伸張反射を生理学的に理解し、臨床に応用することにむずかしさを覚えます。

 上では一つの例として挙げています。例えば、やけどを負う危険のある熱が手に触れてしまったとき、私たちは大脳皮質から「手を避けなさい」と命令するようでは、どうしても信号のやりとりが遅くなってしまい、身体にとても危険を及ぼしてしまう可能性があります。そこで、脳には至らず、脊髄レベルでのやりとりによって、このような危険な場面に対し、的確にす早く身体が対応することができます。
 
 伸張反射は単シナプス反射と呼ばれますが、実際は、筋紡錘から延びる感覚線維は、介在ニューロンや感覚ニューロン、視床など、脳にも投射しています。そこから、脳で処理した情報は運動ニューロンへ戻り、並行した反射弓を形成します。したがって、伸張反射は、「多シナプス反射」性の成分を持っていると言われています。

 スポーツ選手が緊張してしまうと、半分の力を出せない例もたくさんあります。それだけ、伸張反射は環境に左右されてしまう複雑な存在なのだと思われます。セラピストや学生さんは患者さんにとってとても重要な環境因子になります。つまり、患者さんはセラピストや学生さんにうける影響は強く、異なる反射がみられる可能性が考えられそうです。










2014年9月27日土曜日

家族ミラノ療法について

 久々に心理学の勉強会に参加してきました。家族ミラノ療法というもので、普通のカウンセリングとは異なるものでしたが、実際にミラノ療法に触れた私にはとても衝撃的なものでした。もし、興味がもつ方がいらしたら、ぜひ勉強会などに足を運んで頂けれたらと思い、簡単に紹介させて頂きたいと思います。

 1967.8.psychoanalysts at Milan did Marital and Family Therapy.1971.4 of 8 went off to come up new method come up thought strategic method will be good.Relationship between therapist and the family Therapy.Paradoxical relationship.

 これはウィキペディアでも載せてあるようですが、イタリアのミランで精神科医が発展させたものらしいですね。Paradoxicalという観点が重要であることもおっしゃっていました。極端な例ですが、「甘いものを抑えるのが難しいのであれば、逆にどんどん食べなさい」というように指示し、日本人には少し抵抗があるものと思われました。中にはセラピストに強い対抗心がある患者さんや家族がいるらしく、セラピストに言われることと逆のことをしてしまうという意味でもParadoxicalで対応することは重要であるらしいのです。

 Sympathy and reception are important to the counseling.In the family psychology, sympathy and the reception are negative.But not a counselor, it is important that a target person problem solving. This is same important.

 普通、カウンセリングでは受容と共感で対応することを求められますが、この療法では決してその感情を対象者と家族に与えてはならないというものでした。この療法の根底は、対象者を含む家族が問題解決していくというものであり、セラピストの意見はそれを邪魔してしまう強さをもっています。もちろん、カウンセリングでも自分自身で問題解決していくようにアプローチしていくものですが、アプローチの観点が異なっているのですね。


Theme :apastia.Same question to all family’s member.
Who is most worried?Whom did disease find first?Who is pleased with a disease being cured most?This is circular question.Family solves the problem.But Family with a problem has homeostasis.Homeostasis has two things. One is same thing, the other is change thing.These two balance is important!

具体的な話になりますが、拒食症の患者さんだとして、それを取り巻く家族全員に同じ質問をしていくのだそうです。誰が最も心配しているか、だれが一番最初に病気に気づいたか、治ったら誰が一番喜ぶか、治ったら家族はどうなるか、などなど。これらを循環的に質問していきます(循環的質問)。これらを繰り返すことによって、自分自身、お互いの考え方、家族構成などみえないものがみえるようになると言います。これには本音をいかに引き出すかにとても難しく思います。特にホメオタシスが存在しているらしく、常に何も変化を求めたくないもの、変化を求めようとするタイミング、この二つのバランスがあり、家族はノンバーバルに理解しているようです。急に変化を作ろうとしてしまうとホメオタシスが崩れてしまうそうです。
上手く伝えられないのですが、これを実際に体験してみると、本当に目にみえない自分や自分を取り巻く大切な人への思いを引き出された感触でした。逆に言えば、セラピストは訓練をしていないと、リスクを高めてしまう可能性が感じられましたが、実際場面ではどうなのでしょうか。



 私たちの生きる社会には、町・地域、学校、職場、宗教、国、世界が背景にありますが、何らかしらの問題となる根底は必ず家族にあると言われていました。家族背景を理解するということは本当に怠ってはいけないもので、また大変難しいものであるということを実感しました。


 
 

2013年9月24日火曜日

カウンセリングの基盤として~フロイトの精神分析~

 フロイトの精神分析は、心理学、精神分野、芸術や哲学など、幅広い分野に影響を与えているようです。















 今日行われている様々なカウンセリングには、この理論の直接的な基盤となるものや、批判の対象として存在している理論があるようです。
















 フロイトの精神分析は、意識、前意識、無意識となる心の3つの水準から成っています。
















 この図(下手くそですが)にあるイド、エゴ、スーパーエゴがあります。
















 イド:
 本能的欲求で無意識

 エゴ:
 唯一外界(現実)とコンタクトする心の領域
 一部は無意識、一部は前意識、一部は意識

スーパーエゴ:
 意識、無意識であり、イドの要求を果たすために外界世界とコンタクトするエゴを抑制する
 この抑制が防衛機制に働きかけます。
















 
 図の通り、外界と接触しているのはエゴだけです。例えばウソップの防衛機制という有名な話で例えてみたいと思います。

 手に届かない、どのような手段であっても届かない葡萄があったとします。

 しかし、エゴと外界(葡萄)によって、イドは
「葡萄が食べたい」
という欲求を示します。













 ここでスーパーエゴは、ブドウを食べることができないため、食べたいという欲求を抑制しようと頑張ります。この状態が続くと、欲求を満たせない状況が続き、心に負担がかかります。











 そこで防衛機制が働きます。












「あの葡萄はすっぱいから食べないほうがいい」
といった思考をもつようにすることで、心の落ち着きを得ます(合理化)。














 このようにして、私たちは知らず知らずこのような防衛機制を行っていると言われています。















 犯罪心理学では、イドの欲望によって現実に作用するエゴを抑圧する機能、つまりスーパーエゴの衰退が例として挙げられています。




















 無意識の願望イドによる欲求は、幼児期に親から教育されて抑圧されていきます。まだまだエゴやスーパーエゴの機能は不十分であると予想されます。













 
 犯罪に染まってしまうことは、やはり幼児期からの親との関係性がとても大切なのではないかと考えられています。成長して社会に入っていくにあたり、他者からの指摘、そして自分自身を指摘するスーパーエゴとそれに応えるエゴが強化されることが重要と考えます。




















 一方で、犯罪率は高齢者が多いと言われ、そのほとんどは社会から見放された心理的側面が一部考察されています。このことから、エゴの機能不全は、環境的要因もあると考えています。





















 フロイトの精神分析におけるカウンセリングは、欲求に対して無意識的に抑圧してきた中味に触れていくというもののようです。
















 抑圧があれば良い、というものではないのですね。どのように抑圧していくかが大切なのでしょうか。

















 連想法や夢分析を用いて、抑圧された記憶の蓋をあけ、無意識を意識に変換し、歪みを形成している問題を把握しつつエゴを強化するそうです。
























 作業療法士が精神分析を行うことはないと思いますが、これについて学ぶことで、作業療法士が対象者の生活歴をはじめとするさまざまな情報を把握することがとても大切であることを改めるきっかけとなりました。




 

2012年6月1日金曜日

老いの心理学

「私たちは老いについて見て見ぬふりをする。自殺者の統計では高齢者が圧倒的である。社会的定年を迎えると、あとは下り坂でその終わりは死であるというのが通俗的な人生観である。体力は衰え、記憶は薄らぎ、人間関係は縮小していく。そして孤立と孤独・社会的孤立の難問へ・・・。」

この本によれば、老いには「下り」ではなく、「上り」であるといっています。私はこの本を読んで、普段のリハビリテーション医療を実施していくなか、対象者を「下り」目線で行っていように思えてきました。対象者の本当の訴えを聞かず、こちらからの一方的な考え方で目標を設定してしまう。回復期リハビリテーションに求められる自宅退院を目的に、ポータブルトイレの使用、必ず家族の監視のもとでの生活、通所サービスの利用・・・。対象者は、自分の訴えを述べる間もなく、残りの人生の道筋を周囲から強制的に決められてしまう。

この本の「上り」についてこう述べています。
「米国の老人クラブでは、楽しそうに学習会を開いていた。テーマはなんと遺書の書き方。死の準備さえ人格的成長の一貫として捉えていた。」
「寝たきりの高齢者が、この次には世話をする人に生まれ変わりたいと言い遺した。」
「ひとりは孤独として捉えるのではなく、今までずっと縛られてきたわずらわしさから解放された喜び、ゆとりを受けとめる。なかにはまるで殿様の気分と言う高齢者がいる。ひとりの生活形態を重んじ、これを支える医療と福祉を充実させることである。」

リハビリテーションは、単純に機能をよくすることや在宅医療を目指すことでなく(だけでなく)、ひとりの人が思う「自立」を目指しながら終わりをまっとうする援助であること。それが大切だと思いました。
人間は生まれた瞬間から死へ向かって歩き続けると言われています。その人らしい上り坂を切り開く意志と努力を引き出していく人間が求められる気がしました。死を人生の頂点にできるかが、私たち一人ひとりに問われる課題であると述べています。




在宅へ帰る予定の患者さんが、実は施設にいきたいとこっそり私に問いかけてくれた患者さんがいました。在宅へ帰るために必要な歩行やトイレ動作を、一方的に押し付けている自分がとても無力に感じた瞬間でした。私にとっての作業療法士の位置づけは、ますますわからないものになっています。この本を読んで、また新たな課題を頂いたような気がします。

2012年4月1日日曜日

援助行動の生起過程と抑制要因について~社会心理学~

キティ・ジェノビーズ事件 
 1964年ニューヨークで起こった婦女暴行事件。 深夜、帰宅途中のキティは自宅アパート前で暴漢に襲われました。叫び声にアパートの住人38人が目を覚ましこの事件を目撃していましたが、誰ひとり警察に通報せず、彼女を助けようともしませんでした。結局キティは死亡し、犯人は逃亡してしまった事件です。


 人は自らの利益を犠牲にしてまで他者を助けようとするときもあります。どのような要因が、人の援助行動を促進したり、抑制したりするのでしょうか。


 社会心理学者のラタネは、
「多くの人が知っていたのに助けなかったのではなく、多くの人が知っていたからこそ援助行動が起きなかった」
と主張し、ニューヨーク市民を他者への無関心やモラルの低下ではないことを述べています。


 以下はラタネの考える3つの援助行動抑制要因を挙げています。
1:注意の拡散
 周囲に人がいると注意が拡散するため、緊急事態が発生していること自体に気付かないことがある。
2:多元的無知
 事態が起こっていることに気付いていても、それが援助を要するほど深刻なものであるかどうかが明確でなくなってしまうもの。こうしたあいまいな状況では、人は他者の行動を参照しようとする。
3:責任の分散
 明白な緊急事態であるとわかったとしても、同じ状況に気付いている他者が周囲にいることにより問題の解決に対する個人としての責任感が薄れてしまう。この傾向は、傍観者の数が増すにつれて強まる。


 このことから、私たちが何かに巻き込まれた時、周囲の人の数が多ければ多いほど、このような事態になりかねない可能性があると考えられそうです。人が多ければ必ずだれか助けてくれる。そう思っていましたが、必ずとも人の数に伴って起こるものではなさそうです。


 遺伝子を視点とした生物学的に捉えると、多くの人の遺伝子を残すために、
「人を助ける」
という援助行動が生まれたと言われています。そう考えると、やはり人を助けることそのものが、私たちの利益にかなっていると考えられそうです。なので、何か困っている人がいれば、私は私のために、勇気を持って助けていきたいと思います。






 

2012年2月11日土曜日

認知心理学~表象とアフォーダンス~

表象とは、あるものを表現する表記、記号、シンボル、あるいはそれらの集合体とであるといわれています。外的な表象では、ある人物の肖像(夏目漱石)は表象にあたります。内的な表象は心の中に表現されたものであり、心理学者の多くは、内的な表象に関心をもっているようです。

例えばエンジンにカメラをつけ、信号は映すことができても、信号に合わせたエンジンの切り替えができない。このように、私たちが「みる」ということは、知覚を示し、知覚とは外界の情報を意味づけし、内的な表象を作ることであると述べています。
左図のパチンコ玉を飛ばしてきそうな男の写真です。この写真を見て、この男が行うだろう行為(パチンコを飛ばす)を写真に「見てしまう」ことになると述べていました。

このように表象を操作することによりあらゆる認知活動が行われると考えられてきました。しかし、表象を重視せず、その必要性を認めない興味深い研究者がいます。Gibsonは、情報がふんだんにある実際の知覚世界では、われわれを取り巻く光の情報から不変項を「直接」ピックアップすることで知覚に基づく行為が可能になると考えていました。
afford(与える、供給する)という視点から、平らな地面は立つことをアフォードさせる。右図のポストも、手紙を投函することをアフォードする。このことは、われわれがこれらのアフォーダンスを視覚世界から直接ピックアップし、行為につなげているとGibsonは考えたそうです。

たしかに認知症の方とのかかわりでは、椅子を「椅子」と答えられない方がいます。しかし、椅子を前にすると座るという行為に移ることがあり、疑問に思うことがたくさん出てきます。これは、今までの経験による蓄積によって内的な表象が本当はあって、単に表出できないだけなのか。それとも椅子という存在が座ることを直接ピックアップしてaffordしたのか・・・。

うーん、答えは全くみえませんが、とても深いです。

参考文献:

認知心理学

2012年1月2日月曜日

社会心理学 ~組織と集団~

新年あけましておめでとうございます。
2012年初ブログは社会心理学について述べさせていただきたいと思います。
大学の授業で、社会心理学の魅力に圧倒されました。この分野は本当の楽しいです。
ほんの一部ですが、一つ授業で習ったことをご紹介させていただきます。

組織や集団における日本特有の社会心理学の捉え方では、2‐6‐2の法則があるといわれています。具体例を挙げると、上層部が2割、中堅にあたるのが6割、悪い言葉で説明してしまうと、下の立場で、いつも怒られてしまう立場の人間が2割。

では、下の立場の人間2割と中堅にあたる人間2割を入れ替えたとします。すると、必ず怒られる人間が2割できてしまうらしいのです。

新人さんが入社すると、今まで怒られていた2年目の社員さんが、急に怒られなくなる。かといって、仕事が急にできるようになったわけでもなく・・・。よく思い浮かべると何となくわからなくもない気がします。一気に新人さんに視線の向きが変わるのでしょうか。同じ内容のミスをしたとしたら、新人さんが目立つのかもしれないですね。見方を変えると、怒られる立場の人間がいるから、上層部の立ち位置がより明確になるともいえるかもしれません。

職場の上司は、私の存在(ダメ人間)のおかげで光っている!?