理学療法士や作業療法士は、身体分野においては、少なからず治療者として対象者と「触れる」ことが多いと思います。むしろ、「触れる」ことが主要で、触れることに抵抗のある日本人の特徴的な心理面をもっていても、治療者と患者さんという関係性では、その空間は「触れる‐触れられる」という関係性が成り立ちます。現代では、セクハラや痴漢行為の事例が数多く挙げられていますが、その影響からか、心理学の世界において、昔と比べ男性のカウンセラーにはかなりの制限がかかってしまうとよく聞かれます。それだけ、リハビリテーション分野でこのように許される職業としては、とても魅力的であり、かつ責任重大な職業であるとも言えます。
リハビリの世界でも、手技手法をはじめとした徒手療法は、数多くあります。フェルデンクライスのfunctional integration統合のように微細なタッチで対応するものや、関節モビリテーションで素早く関節を牽引するもの、筋膜リリースのように深部まで圧を加えるものなどさまざまです。私はbobathの環境でしたから、話す内容はbobathに近いものが今までも多かったと思いますが、私の印象では、bobathの先生方をみても、考え方や触り方、患者さんとのスペースの取り方は決して同じではなく、多様性のある印象を受けます。bobathはテクニックではなく、概念であるということがあるかもしれませんが(bobathを語れるほど、bobathは理解していませんが・・・)。
学生や新人の頃は、よく疑問に思っていましたが、
「なぜリハビリテーションの世界では治療手技・徒手療法は統一されないのだろうか?」
と考えることが多くありました。一番効果の高い徒手療法をみんなやればいいのに。
この仕事をはじめての私個人の考えになりますが、さまざまな徒手療法をみたり、話を聞いてきましたが、どの手法においても、個人差がでるようですね。もちろん、経験年数や患者さんの求めるものによって違いがでるのは当たり前な話ですが。だから、この療法が良くてこの療法がだめとか、はっきりしてこないんだと思います。私はbobathだけでなく、AKAやフェルデンクライス、筋膜リリース等、そのトップを走る方々のアプローチをみてきました。やはりどれが一番正しいのかは、私のレベルでは判断できるものではないのですが、結果はもちろんのこと、考え方やスピリッツはどれもすばらしいものでした。不思議なことに、それぞれの先生方は、他の理論を否定していなかったこと、他の理論と思われる考え方を知っていたこと、何よりお話ししている内容がなんとなくですが、同じように聞こえてきました。それは、患者さんが困っていることを全身全霊を込めて聞き出そうとしている姿でした。言葉だけでなく、身体の方から心理面にかかわっている。その空間だけ可能としている共有・一体感、というような印象でした。決して専門的に言葉にはしていませんが、患者さんの心理を踏まえていることが大前提であると教えて頂けたように思えます。
ヒトは信じ込むとそれが身体に表れるようになると聞きます。癌患者さんでも、精神的なもので治るものと治らないものと大きな差が出てくる話も聞きます。徒手療法はそれぞれ独自なものがありますが、患者さんがそれをしっかりと知り、患者さんが治療者を信用することが大前提なのだと思います。
2月に大学院の入試があり、合格できるかはわかりませんが、
「触れるということ・心理的な側面」
という、大雑把ですが自分なりに研究していきたいと思っています。私の希望する学校は、心身を考慮した心理学的アプローチを専門としています。ぜひここで学んで更に一人前の作業療法士に近づけるよう、残り期間しっかりと入試対策をし、患者さんの思いが少しでも理解できるようなセラピストを目指していきたいと思います。
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