今日行われている様々なカウンセリングには、この理論の直接的な基盤となるものや、批判の対象として存在している理論があるようです。
フロイトの精神分析は、意識、前意識、無意識となる心の3つの水準から成っています。
この図(下手くそですが)にあるイド、エゴ、スーパーエゴがあります。
イド:
本能的欲求で無意識
エゴ:
唯一外界(現実)とコンタクトする心の領域
一部は無意識、一部は前意識、一部は意識
スーパーエゴ:
意識、無意識であり、イドの要求を果たすために外界世界とコンタクトするエゴを抑制する
この抑制が防衛機制に働きかけます。
図の通り、外界と接触しているのはエゴだけです。例えばウソップの防衛機制という有名な話で例えてみたいと思います。
手に届かない、どのような手段であっても届かない葡萄があったとします。
しかし、エゴと外界(葡萄)によって、イドは
「葡萄が食べたい」
という欲求を示します。
ここでスーパーエゴは、ブドウを食べることができないため、食べたいという欲求を抑制しようと頑張ります。この状態が続くと、欲求を満たせない状況が続き、心に負担がかかります。
そこで防衛機制が働きます。
「あの葡萄はすっぱいから食べないほうがいい」
といった思考をもつようにすることで、心の落ち着きを得ます(合理化)。
このようにして、私たちは知らず知らずこのような防衛機制を行っていると言われています。
犯罪心理学では、イドの欲望によって現実に作用するエゴを抑圧する機能、つまりスーパーエゴの衰退が例として挙げられています。
無意識の願望イドによる欲求は、幼児期に親から教育されて抑圧されていきます。まだまだエゴやスーパーエゴの機能は不十分であると予想されます。
犯罪に染まってしまうことは、やはり幼児期からの親との関係性がとても大切なのではないかと考えられています。成長して社会に入っていくにあたり、他者からの指摘、そして自分自身を指摘するスーパーエゴとそれに応えるエゴが強化されることが重要と考えます。
一方で、犯罪率は高齢者が多いと言われ、そのほとんどは社会から見放された心理的側面が一部考察されています。このことから、エゴの機能不全は、環境的要因もあると考えています。
フロイトの精神分析におけるカウンセリングは、欲求に対して無意識的に抑圧してきた中味に触れていくというもののようです。
抑圧があれば良い、というものではないのですね。どのように抑圧していくかが大切なのでしょうか。
連想法や夢分析を用いて、抑圧された記憶の蓋をあけ、無意識を意識に変換し、歪みを形成している問題を把握しつつエゴを強化するそうです。
作業療法士が精神分析を行うことはないと思いますが、これについて学ぶことで、作業療法士が対象者の生活歴をはじめとするさまざまな情報を把握することがとても大切であることを改めるきっかけとなりました。
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