2012年4月1日日曜日

援助行動の生起過程と抑制要因について~社会心理学~

キティジェノビーズ事件 
 1964年ニューヨークで起こった婦女暴行事件。 深夜、帰宅途中のキティは自宅アパート前で暴漢に襲われました。叫び声にアパートの住人38人が目を覚ましこの事件を目撃していましたが、誰ひとり警察に通報せず、彼女を助けようともしませんでした。結局キティは死亡し、犯人は逃亡してしまった事件です。


 人は自らの利益を犠牲にしてまで他者を助けようとするときもあります。どのような要因が、人の援助行動を促進したり、抑制したりするのでしょうか。


 社会心理学者のラタネは、
「多くの人が知っていたのに助けなかったのではなく、多くの人が知っていたからこそ援助行動が起きなかった」
と主張し、ニューヨーク市民を他者への無関心やモラルの低下ではないことを述べています。


 以下はラタネの考える3つの援助行動抑制要因を挙げています。
1:注意の拡散
 周囲に人がいると注意が拡散するため、緊急事態が発生していること自体に気付かないことがある。
2:多元的無知
 事態が起こっていることに気付いていても、それが援助を要するほど深刻なものであるかどうかが明確でなくなってしまうもの。こうしたあいまいな状況では、人は他者の行動を参照しようとする。
3:責任の分散
 明白な緊急事態であるとわかったとしても、同じ状況に気付いている他者が周囲にいることにより問題の解決に対する個人としての責任感が薄れてしまう。この傾向は、傍観者の数が増すにつれて強まる。


 このことから、私たちが何かに巻き込まれた時、周囲の人の数が多ければ多いほど、このような事態になりかねない可能性があると考えられそうです。人が多ければ必ずだれか助けてくれる。そう思っていましたが、必ずとも人の数に伴って起こるものではなさそうです。


 遺伝子を視点とした生物学的に捉えると、多くの人の遺伝子を残すために、
「人を助ける」
という援助行動が生まれたと言われています。そう考えると、やはり人を助けることそのものが、私たちの利益にかなっていると考えられそうです。なので、何か困っている人がいれば、私は私のために、勇気を持って助けていきたいと思います。






 

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