私はタッチングの研究を行っていますが、現段階では「ストローク」のみの研究に留まっています。
ストロークの他にも臨床で触れる方法はいろいろあると思います。私の場合は、皮膚のみをgraspしたり、筋をしっかりgraspしたり、皮膚・筋の伸長を促すような触れ方をすることがあります。
なかでも自然と臨床で実施するのが、「揺する」タッチングです。どの位の強さで、どの位の揺れを引き出すのかについて、全く統一が確立しているわけではありません。これは患者さんによって大きく変わるので、統一性を図ることはかなり難しいです。
この「揺れ」によって、患者さんの動きが良くなったり、心理的なリラックス効果を得られることを多く経験します。
この研究はまだまだ少ないようですが、これらの効果の要因として胎児がお腹の中にいるときの「揺れ」と羊水によって刺激される産毛の「揺れ」を思い出しているのではないかという考えもあります(久住、2018)。
また、揺らすことで、全身の関節や筋も動きますし、それに伴う支持面との接触によって緊張した筋が緩んでくることも考えられそうです。
先ほどリラックス効果といいましたが、このリラックス効果により、消化・吸収、心臓や呼吸、排便、免疫、ホルモンなどの動きを調整する自律神経の動きが活性化される可能性もあるのではないかと思います。
様々なメカニズムが複雑に絡み合って「揺れ」の効果が反映されるのかもしれません。私は専門ではありませんが、精神科の患者さんにも提供することに意義があるのではないかと考えております。
心理的要因と関連しているという頭痛や慢性腰痛の方にもどれほどの効果をもたらすのか気になるところです。
現在課題としている研究を終えることができたら、自律神経指標や心理尺度、エコーなどを用いてぜひ検証してみたいと思います。
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