脳には、高齢などのある時期にくると修復や産生が困難となると言われています。それは、ニューロンの産生と補充ができなくなるためのようです。
今回の文献では、脳のごく限られた部位である海馬の細胞に新たなニューロン新生ができるということが研究結果として説明されていました。この海馬は、記憶・学習・感情・情動などの社会生活に関わる機能を担っている部位で、うつ病、統合失調症などの精神疾患との関連があると述べています。
ニューロン新生における詳細については、まだ不十分であるも、動物実験において、感覚や運動刺激の豊富な環境下では、ニューロン新生が促進されたことが分かったとされています。
うつ病は、ストレスにおける環境要因が原因の一つと言われています。うつ病特有の情動コントロールの低下は、前頭前野や海馬を含む辺縁系が報告されているようです。つまり、ストレスの刺激により海馬における新生ニューロンを抑制するということになります。また、うつ病は、糖質コルチコイドの値が上昇し、ニューロン新生を抑制することも説明されていました。ということは、うつ病と糖尿病にも相関関係がある?のでしょうか。
ストレスと糖質コルチコイドの関係について、もしよろしければ、
http://othitomi-hitomi.blogspot.jp/2012/06/blog-post_20.html、
http://othitomi-hitomi.blogspot.jp/2012/06/blog-post_10.html、
を参照してみて下さい。
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脳の再生の限界に、もう一つ加齢が考えれています。加齢に伴い、海馬は萎縮し、記憶障害の主な原因となっています。しかし、上記でもあるように、感覚・運動刺激の豊富な環境下による自発的な運動の促進は、ニューロン新生が顕著に促進され、高齢者であってもニューロン産生能力の可能性が大きく考えらるようになっています。
新人指導という立場Ⅱhttp://othitomi-hitomi.blogspot.jp/2011/11/blog-post_26.htmlでも述べたように、海馬を考慮したアプローチは、幅広い効果を生むことになりそうです。今後も、私たち臨床の人間と研究家との協力にて、どのようにしたら海馬ニューロンが活性化されるのか。現代社会の動向や背景、ストレス、感覚や運動、情動・・・リハビリテーション分野だけでなく、心理学などのさまざまな視点から展開していくこと必要性があると考えられそうです。海馬の活性化が発展することによって、より多くの方へ貢献できる重要な課題であると思いました。
参考文献:金子奈穂子・他 総合リハビリテーション~海馬ニューロンの新生と精神神経疾患~ 医学書院 Vol.38 No.2 2010.2
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