個人的な見解ですが、教員と臨床を担っている立場として、作業療法士の数は圧倒的に少ないと思っています。
就職の時期になると、作業療法学生1人に対して6~10施設から就職への依頼がくることもあります。
作業療法士は、医療・介護領域においても、中心的役割を担う職種です。
つまり、作業療法士は他の職種のことも理解しつつ、リーダー的存在としてチームをひっぱっていくことになります。
身体機能にかかわる理学療法士以上に、応用的な動作へのアプローチが求められます。食事にかかわる言語聴覚士以上に、嚥下や姿勢、精神面へのアプローチが求められます。
それだけ作業療法士は必要とされる職業なんですね。
また作業療法士は、看護師や介護士さんのように夜勤がありません。
残業も少なく、休日もしっかり確保されています。ゆとりのある生活スタイルを保つという意味では、作業療法士は非常に安定した職業といえるでしょう。
作業療法士をめざす学校には大きく専門学校、大学に分けられます。
学校を選ぶ基準はさまざまですが、私がおすすめする見方として以下の3点を挙げます(個人的な意見です)。
1:国家試験合格率
2:教員人数
3:付属病院の有無
1:国家試験合格率
国家試験合格率は、学生や教員の関係性、そして学校そのものの環境の良さがもろにあらわれると考えることができます。
一見、偏差値が高い学校でも、なぜか国家試験の合格率は低いことが頻繁にあります。
つまり、学生や教員が国家試験に対してあまり取り組んでいない可能性があると考えることができます。
この点において、学校選びの基準として国家試験合格率は重要な見方になるでしょう。
2:教員人数
当たり前のことですが、教員人数が多いほど、一人当たりの授業数やその他業務に割り当てられる量は減ってきます。
つまり、教員人数が多いほど、個別で学生にかかわれる時間をもつことができると考えることができます。
教員は常に精神的に安定した状態のなかで、学生への教育を提供できる環境下にいるということになります。
学校を選ぶ際は、教員人数を注目することに価値があるといえます。ただし、注意が必要です。教員の数といっても、その教員が作業療法士であるかどうかが重要になってきます。
作業療法士でない教員は、それに属する学科に深くかかわれないことが多いです。作業療法に関する指導ができない分、実習のサポートも薄くなってしまう可能性があると思います。
3:付属病院の有無
付属病院があるということは、卒業に必須な実習を身内で受けることができます。
これは、教員そのものが学生に直接指導することができることに加え、教員と臨床スタッフのやりとりも密に行えることができます。
担当する教員がいつでも早急に学生をサポートできる点でいえば、付属病院を有する学校を選ぶことは非常に有意義になるでしょう。
この3つを担保している学校といえば、杏林大学保健学部作業療法学科になります。
その他付属病院を有している学校には北里大学医療衛生学作業療法学専攻や昭和大学保健医療学部作業療法学科もあります。
近隣の大学もHPで確認しつつ、慎重に学校を選ぶことをおすすめします。
今回の重要な視点として、大学教員の研究業績は省きましたが、研究業績の高さは教員そのもののレベルを反映すると考えることもできます。教員紹介のところで、研究業績を開示しているので、興味があればぜのぞいてみると良いかと思います。
作業療法士は心身ともに負担のない職業で、年を重ねても健康な状態でお仕事ができる職業の一つだと思います。
さまざまな職業と見比べてみて、もし興味があれば、ぜひ作業療法士を目指してみてはいかがでしょうか。