低酸素の主な原因として、大きく4つに分けられています。
①呼吸筋の疲労、胸郭や中枢神経系の異常によるもの
②痰などによる気道閉塞
③肺水腫、肺気腫などによる拡散障害
④肺塞栓、死腔、シャントによる血流不均等
この①~④を理解するために注意しなければならないのは、酸素は減少しながら吸入されることです。普通、気体は下から上に上がっていきますが、人の場合は鼻や口から肺へ入れていくので、上から下へ向かっていくことになります。
つまり、大気中の酸素160mmHgが、肺胞にたどり着くときには、すでに100mmHgとなり、肺胞から動脈血へ移動する際には95mmHgとなってしまいます。当たり前の話になってしまいましたが、これが低酸素の原因の基礎となるようです。
肺胞から動脈血に移る際には、酸素が液体化しなければならないため、ヘモグロビンと結合する必要があります。そのため、拡散能は、酸素よりもすでに液体化している二酸化炭素の方が優れていることになります。③のような、肺胞内に水がたまってしまうと、ヘモグロビンと結合する前の状態であるため、酸素液体を通らず、動脈に届かなくなります。液体化している二酸化炭素は、何も影響をうけなくなります。よく酸素が減ると二酸化炭素は増えるということを聞きますが、このような例の場合、動脈血酸素は減少しますが、二酸化炭素は増えることはありません。
次回は、CO²ナルコーシスについて述べていきたいと思います。