上の図のように、呼吸の状態によって、静脈還流に影響を与える可能性があると考えらます。
私が体験した麻痺の影響が少ない患者さんがおりましたが、その患者さんの立位時はフラフラ、呼吸に伴う胸郭の可動性は低く、常時高緊張を示しておりました。
下腿後面筋はStiffnessで足部の浮腫みも認められていました。そして立位時をとった際は、いつも高血圧を示していました。
ドクターによる基準はさまざまですが、一般に
「高血圧時はリハビリを控える」
と判断することがあると思いますが、状況に応じてできる限り動く機会を提供したいと思って取り組んでいます。
そこで一つの仮説を立ててみました。
この症例の高緊張と呼吸の問題は、足底からのfeed backシステムの破綻となり、感覚の欠如による立位時の精神的な負荷と自律神経系のアンバランス、そして静脈還流量の問題による洞反射が欠如しているのではないかといった安易な仮説です。
また、可動性の低い胸郭は、ヘーリングブロイエル反射機構のweaknessを生じさせ、呼気量の低下に伴う静脈還流の低下が生じているのではないかと考えました。
その結果、高血圧が生じているのではないかと考えました。
治療としては、姿勢コントロールとしての下腿三頭筋が足部の感覚運動経験が得られるように留意し、活動を促していきました。
状況に応じた下腿三頭筋の反応が感じられると、固定的であった上部体幹は若干ですが軽減し、胸郭の可動性が得られてきました。
その後のバイタルは安定してきました。こういったプロセスをよく経験することがあります。
その後のバイタルは安定してきました。こういったプロセスをよく経験することがあります。
これらワードとして、呼吸・胸郭(ヘーリングブロイエル)、血圧、自律神経、姿勢コントロール筋群、足部の感覚器官、静脈還流量が挙げられました。
この仮説はかなり安易に設定されたものであり、信憑性がありません。たまたまこのような現象がおきたのかもしれません。
これらの出来事を日々体験することが多いため、どんな形でもその理由についてまずは考えてみる。そうすることで視点の違いに気づき、患者さんの理解につながっていくと考えています。
参考文献
病気がみえる 循環器